骨折や脱臼のない頚部脊柱の軟部支持組織(靱帯・椎間板・関節包・頚部筋群の筋や筋膜)の損傷が、頚部捻挫と説明されています。
医学上の骨折とは、骨自身の強度を超える大きさの直接的または間接的な外力を受ける事によって、その解剖学的連続性が絶たれた状態を示し、脱臼とは、外傷性脱臼の事で、強い力によって関節が生理的可動域を超えて動いてしまった結果、関節包の損傷や弛緩が生じて、関節面の相対関係が乱れ、関節面相互に持続的逸脱が生じた状態をいいます。捻挫とは、外力によって関節が生理的可動域を超えて動いてしまった結果、関節包や靭帯の損傷が生じて、一時的に関節面の相対関係が乱れるが、すぐに位置関係が戻った状態をいいます。一般的な捻挫の症状としては、疼痛、膨脹と軽度から中程度の機能障害を認めます。
ですからレントゲンでは確認することは難しい障害になります。MRIは椎間板、靱帯、脊髄・神経根などの頸椎指示軟部組織や神経組織の描出に有用な画像診断法です。損傷状態が確認できる場合があります。
しかし、多くの方は、MRIによる検査によって異常なしと診断され、軟部支持組織が損傷したどうかさえも明らかでないが、事故受傷後に明らかに障害が発生し、残存する症状が障害として苦しんでいる方です。
その不安を解消するためには、この障害そのものをご自身が知ることが大切です。
自賠責後遺障害等級認定のポイント
「局部に神経症状の残すもの」14級9号としての認定基準傷病名が、頸椎捻挫・腰椎捻挫等の場合は、レントゲン写真・CT写真・脳波検査・脳血管写・気脳写・筋電図等の検査によって証明されにくい医学的に証明できる神経症状に該当せず12級としては厳しいのが実情です。では「医学的に説明できる」14級では、その認定のポイントは「神経系統の障害が医学的に推定できるもの」になります。
実務上から14級認定の備えるべき条件は下記3つです。
・6ヶ月以上の医療機関への通院履歴が確認できること。
・通院期間中に4週間以上の中断が無いこと。
・半年間で40日以上の通院があること。
次に、級認定のポイントは下記4つになると思われます・
・受傷状況の確認
・残存する症状の具体的内容及び程度の確認
・受傷状況・症状経過と残存する症状の整合性の確認
・残存する症状、特に自覚症状と検査所見との整合性の確認
これらを医証により説明できる事が14級認定の要件になると思われます。被害者請求の際に添付する「後遺障害診断書」やその他の所見にて立証できるか否かが認定のポイントになります。
受傷時の診断傷病名と、その後残存する自覚症状を評価して、整合性が説明ができる事が大切です。
画像所見や神経学的検査所見の有無と、非該当、14級、12級の認定との関係分布図
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