2012年4月30日月曜日

むち打ち症や神経症状の交通事故後遺症認定


レントゲンにて「骨傷なし」との診断

骨折や脱臼のない頚部脊柱の軟部支持組織(靱帯・椎間板・関節包・頚部筋群の筋や筋膜)の損傷が、頚部捻挫と説明されています。

医学上の骨折とは、骨自身の強度を超える大きさの直接的または間接的な外力を受ける事によって、その解剖学的連続性が絶たれた状態を示し、脱臼とは、外傷性脱臼の事で、強い力によって関節が生理的可動域を超えて動いてしまった結果、関節包の損傷や弛緩が生じて、関節面の相対関係が乱れ、関節面相互に持続的逸脱が生じた状態をいいます。捻挫とは、外力によって関節が生理的可動域を超えて動いてしまった結果、関節包や靭帯の損傷が生じて、一時的に関節面の相対関係が乱れるが、すぐに位置関係が戻った状態をいいます。一般的な捻挫の症状としては、疼痛、膨脹と軽度から中程度の機能障害を認めます。

ですからレントゲンでは確認することは難しい障害になります。MRIは椎間板、靱帯、脊髄・神経根などの頸椎指示軟部組織や神経組織の描出に有用な画像診断法です。損傷状態が確認できる場合があります。

しかし、多くの方は、MRIによる検査によって異常なしと診断され、軟部支持組織が損傷したどうかさえも明らかでないが、事故受傷後に明らかに障害が発生し、残存する症状が障害として苦しんでいる方です。

その不安を解消するためには、この障害そのものをご自身が知ることが大切です。

自賠責後遺障害等級認定のポイント

「局部に神経症状の残すもの」14級9号としての認定基準

傷病名が、頸椎捻挫・腰椎捻挫等の場合は、レントゲン写真・CT写真・脳波検査・脳血管写・気脳写・筋電図等の検査によって証明されにくい医学的に証明できる神経症状に該当せず12級としては厳しいのが実情です。では「医学的に説明できる」14級では、その認定のポイントは「神経系統の障害が医学的に推定できるもの」になります。

実務上から14級認定の備えるべき条件は下記3つです。

・6ヶ月以上の医療機関への通院履歴が確認できること。

・通院期間中に4週間以上の中断が無いこと。

・半年間で40日以上の通院があること。

次に、級認定のポイントは下記4つになると思われます・

・受傷状況の確認

・残存する症状の具体的内容及び程度の確認

・受傷状況・症状経過と残存する症状の整合性の確認

・残存する症状、特に自覚症状と検査所見との整合性の確認

これらを医証により説明できる事が14級認定の要件になると思われます。被害者請求の際に添付する「後遺障害診断書」やその他の所見にて立証できるか否かが認定のポイントになります。

受傷時の診断傷病名と、その後残存する自覚症状を評価して、整合性が説明ができる事が大切です。

画像所見や神経学的検査所見の有無と、非該当、14級、12級の認定との関係分布図


腱炎&腕立て伏せ

出展 「後遺障害等級認定と裁判実務」編者高野真人・発行者新日本法規より

文献では、非該当・14級・12級認定は、明確な程度差がない様子が分かります。

しかし、現実(実務)においては、非該当と1級、14級と12級では著しい差があります。違うものは違うという明らかなメッセージを感じています。

つまり、簡単には後遺障害には認定されませんし、後遺障害とは与えられるものではなく、それを取りにいくものであると感じています。

「局部に頑固な神経症状の残すもの」12級13号の認定要件

頑固とは器質的損傷が画像で確認できる事。

第12級の「局部にがん固な神経症状を残すもの」とは、労働には差し支えないが、医学的に証明できる神経症状をいい、知覚障害、局部のしびれ感、麻痺があるときに、それがレントゲン写真・CT写真・MRI写真・脳波検査・筋電図等の検査によって証明される場合とされ、また、「通常の労務に服することはでき、職種制限も認められないが、時には労務に支障が生じる場合があるもの」が該当すると記載され、疼痛等感覚障害では、「通常の労務に服することはできるが、時には強度の疼痛のため、ある程度差し支えがあるもの」が第12級とされています。

次に、知覚障害、局部のしびれ感、麻痺があるときに、神経学的所見として神経根症状誘発検査において陽性の所見が認められ、かつ、これを客観的に裏付ける画像上の椎間板の膨隆や突出、神経根の圧迫等が確認できる場合には、これをもって器質的損傷と認められる事があります。

MRIによる画像診断で、医学的知見からは加齢による経年性の傷病名として「ヘルニア」・「狭窄症」という診断名が付されている場合では、「仮に経年性の状態を保持していたとしても、それによって疼痛やしびれなどが無く何ら支障を来していないものであり、事故による強い外力によって、症状が出現しその障害が残遺している事」を立証できれば、頑固な神経症状として認められる場合があります。

受診されている医師の問題もあります。

むち打ち症及び外傷性頸部症候群・頚部捻挫等では、受傷より1ヶ月以内を超急性期として捉えています。良い整形外科では、1.問診による事故発生状況、事故直後の症状、その後の受診までの症状経過、既往歴及び既存症の有無・症状の正確な確認を行います。2.身体診察による全身状態(表情、歩行状態や動作)、頸部の局所所見、神経学的所見及び他部位の外傷の観察を行います。3.症状に応じた単純レントゲン検査とMRI検査を早期に実施します。4.初診後1〜2週間の症状所見の推移を観察します。


痛みは血圧を増加させる

医学上の臨床においては、頸部神経の圧迫に基づくしびれをどの様に確認しているかといえば、レントゲン検査は、頸椎骨は影として映りますので、医師は、その影から脊柱のずれ方を確認します。7個の骨が正しく整列していれば、神経を圧迫する要因とは考え憎いことになります。次に、椎骨同士の感覚に意を払います。間隔が狭すぎるなら、そこから出る末梢神経を圧迫する要因と考えられます。また、レントゲン検査では、正面からのみ撮影するばかりでは無く、両側側面、最大前屈、最大後屈、開口などの状態で撮影して、頸椎骨の全体的な曲り方をみて、神経根の圧迫の有無及び程度を推量して行きます。

受傷直後の救急病院にて、1枚のレントゲンのみの撮影で、診断書に「骨傷なし」と記載されているケースを多く見ます。救急病院での処置には限界がありますので、受傷時より出来る限り早い時期(1〜2週間以内)にレントゲン検査をして、頸椎骨の全体的な曲り方をみて、神経根の圧迫の有無及び程度を確認する事が大切です。MRIとは、磁気共鳴画像といわれ、人体に6割含まれる水に注目して水に反応するもので、水分の少ない骨よりも軟部組織をよく映します。よって、靱帯や筋肉の状態と骨との連関も映るので、影を読むレントゲンよりは、はるかに正確に異常の有無が判明します。

後遺障害等級認定の実務においては、事故の発生状況、急性期の症状所見、その後の症状経過をもって事故との相当因果関係が確認されます。初診時の所見は最も重要で、その評価の信頼度は自覚症状・他覚的所見及び補助診断検査所見の精度に依存します。後遺障害等級認定の基準(物差し)は、受傷時が一番重篤であることから始まります。

一通りの資料を送付して頂いて、等級認定の見込み度を測る場合に、必ず確認する項目になります。残念ながら、情けない医師も多く、当初より詐病と予断を持って診察されている方もいます。医療報酬を1点25円や20円として自由診療の恩恵を受けている事と、その診断や診察は比例していません。受傷機転 どのような原因でどのような結果をもたらしたかを被害者側で立証しない限り、後遺障害として認定される事は難しいのが現実です、異議申立ての際は、この受傷機転に加えて、"一医"(最初に診た医師)あるいは前医の診察・検査所見の評価が、残存する自覚症状や障害と対比すると、適正と思えないケースがあります。

接骨院・整骨院等の問題

医療機関ではありませんし、医師でもありません。

後遺障害の認定基準は、「医学的に証明又は説明できること」になります。これは医療機関における医療行為と、医師による経過観察後の所見によるものを示します。


にきび、自然の赤みを治すためにどのように

接骨院・整骨院とは、「柔道整復師」による施術所になります。柔道整復師法には、(定義)第2条、この法律において「柔道整復師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、柔道整復を業とする者をいう。とされ、(外科手術、薬品投与等の禁止)第16条柔道整復師は、外科手術を行ない、又は薬品を投与し、若しくはその指示をする等の行為をしてははならない。とされ、(施術の制限)第17条柔道整復師は、医師の同意を得た場合のほか、脱臼又は骨折の患部に施術をしてはならない。ただし、応急手当をする場合は、この限りでない。 と規定されています。

したがって、原則的に医療行為としては認められていませんし、診断書を書く事もできません。つまり、接骨院等へ幾ら施術に通っても、等級認定の評価においては、医学的なものとして扱われる事はありません。

4つの災害?

加害者の行為よりも残りの災いが辛い現実

多くの被害者の方は、加害者のいわば不法行為によって事故という災害に遭います。

その災いの後から、3つの災いに見舞われる事があります。加害者の行為を1つ目とすれば、2つ目は加害者の任意保険会社やその担当者によるものです。この災いは、加害者が付保している損保会社ですので、「契約者(加害者)が責任を負う限りで、被害者に賠償すれば足りる」と判示されている事からか、損保会社によっても、担当者によっても様々に非常識な対応がなされる現実です。

3つ目の災いは、医療機関や医師によるものです。通院期間中はお客様としての厚遇されたり、漫然とした治療が継続される事が多いのですが、いざ後遺症となった時には、医療機関や医師特有のパターナリズムに変節して逃げ口上(責任と取らない)になる事です。

4つ目は、残念ながら、弁護士や行政書士による期待権の侵害です。相談時に事実確認もできない上でさも等級認定に至り、その結果多額の賠償金が得られる事を仮定した上で話しが進みますが、事実確認がなされる毎にそのトーンがダウンし、あげくにはそれは知らなかったと開き直る災いです。

加害者によって事故に遭われても、医師も損保も士業も、期待した以上の対処を望めず、むしろその都度「これ良かれ」と誘導され判断した事が、「これ悪しかれ」となり、 あげくは「それは自己責任です。」と冷たくあしらわれる事も、現実的にある事です。

したがって、被害に遭われたご自身が、一歩踏み出して頂いて、様々な問題解決をして頂くことが重要です。

被害者の方がなすべき事

ご自身が受傷した傷病を理解して、神経学的に自覚症状が説明できる事

頸椎・腰椎捻挫の場合は、一般的に整形外科の医師が診断し診察しています。整形医学の統計では受傷後3か月で治癒するというデータがあります。また、損害賠償上では、頸椎捻挫の方の70%が3か月以内に示談に応じている実態があります。


後遺障害認定においても、事前認定における初回の後遺障害診断書による非該当の割合が非常に高くなっている傾向にあります。仮に12級の要件を満たしていても14級と判断し、その後異議申立てで12級を付与するケースが増えています。

足くびを捻挫した場合には、通常4週間程度で完治します。では頸椎や腰椎捻挫という傷病では治療が長期化し後遺症がなぜ残存するのでしょうか?

長期化する理由は、医学上も特定されていませんし体系化もされていません。主治医が経験則で判断している傾向もあります。私たちには看板で病院を選択する事は可能ですが、スキルや実績から医師を特定することは困難です。いわんや柔道整復師(整骨院・接骨院)は単なる治療法としての医療類似行為です。

医学的にどういう説明がなされるのかを聞き、それを所見として診断書等に記載してもらう為には、被害者の方が基本的な医学的知識を持つ事が大切です。「むち打ち損傷ハンドブック 第2版」・「最新腰痛症ハンドブック」 出版社: シュプリンガー・ジャパンなどを読んで頂き、自覚症状と医学上の見解を調べて見て下さい。これらの少しづつの手間の積み上げが等級認定へつながります。

事前認定にて非該当だった方は、「非該当の理由と対応」にてをご確認ください。また、14級9号が認定された方で12級13号への異議申立は、「神経症状の異議申立」にてをご確認ください。

さらに、頚部捻挫と腰部捻挫による神経症状専用ページ頚部(頚や肩)のページ「頚椎捻挫・外傷性頚部症候群」。腰部のページ「腰部捻挫・椎間板ヘルニア・脊椎間狭窄症」にてをご確認ください。

自賠責保険への被害者請求のご支援

医者任せ・保険会社任せでは等級認定に至りません。

事故受傷より6ヶ月を過ぎても、症状が残存している場合には、自賠責保険へ被害者請求をして、後遺障害等級認定がされる場合があります。

ご相談いただく時期は、相手方任意保険会社より治療打ち切りと通告された、医師よりそろそろ症状固定と打診された、通院を継続しても一向に改善されないなどのご事情が起きたときです。様々情報を検索し調べても、それぞれの個別事案に対してどのように対処すべきかの知恵を得る事はできません。

事実確認ができる書類によって、要件に当てはめをして等級認定の見込み度をご判断させて頂きます。

後遺障害等級認定の見込みを無料でご判断させて頂きます。

「局部に神経症状を残すもの」として認定された場合には、後遺障害分慰謝料と逸失利益は主婦の方でも200万円を超える賠償額を請求できます。不幸にして事故に遭われた上に、真っ当な賠償額を得られない事態を受け入れる前に、後遺障害認定取得の可能性を確かめるべきです。

第三者としての専門家に相談してみることで、その後の事態は大きく変わる見込みがあります。事実関係が分かる書類を用意されるか、事情を整理されてから、まずはメールにてご相談下さい。



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